12/16 (月) 今日もまたパリに行く。
(先週末は熱⁺経験したことのない喉の痛みで金土日をまるまるつぶしてしまった。本当にひどい喉の痛みだった。)
今回は、以下の3つの博物館に行く。
・進化大展示館 (Grande Galerie de l’Évolution)
・古生物学・比較解剖学陳列館 (Galerie de Paléontologie et d’Anatomie comparée)
・パリ工芸博物館 (Musée des Arts et Métiers)
8:27分にアミアン発の電車に乗るために7:45分には家を出る。
いつも通り、外はまだまだ薄暗い。
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アミアン駅でパリ北駅までの22.8€のチケットを買い、1時間ちょっと電車に乗る。
最速でパリ北まで着く電車は乗車率が高くなるようである。
パリ北駅に着く。
そろそろ色々なことに慣れてきてあまり精神的に疲れないようになってきている。
大学院進学の一番の目的であるせっかくのフランス留学も半分を過ぎているので、慣れる事に慣れてしまわないよう出来るだけ意図的に新しいことをやろうと思う。
地下鉄の切符を購入する。
Navigo easyというものを買ってみる。
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これは旅行者向けの交通系ICカードであり、2€での購入後、10年間使うことができる。
切符を買っても無くしてしまったり、未利用切符と利用後切符とを混同してしまう事が頻繁にある人には便利かもしれない。
地下鉄5番線でQuai de La Rapée駅まで向かう。
地上に出て、目の前にあるセーヌ川に架かるオステルリッツ橋を渡り、パリ植物園の敷地内に入る。
パリ植物園には散歩やランニングをしている人が多くいる。
観光地として旅行客に人気なだけではなく、地域の住民たちにとっても必要な憩いの場となっているのだろう。
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今は10時くらいでまだあまり観光客もいないので、のんびりと周りを見ながら歩くことができる。
最近は週末に晴れることが多くて本当に運が良いと思う。
そろそろ予約していた10時30分になるのでまずは進化大展示館に入る。
どうやら買うチケットを間違えていたけど、25歳以下ということで無料で入ることができた。
(パリ植物園内には国立自然史博物館 (Muséum national d’Histoire naturelle) として複数の博物館があり、それぞれ名前が似ていたり別館的な建物があったりでどのチケットを買えばよいのか少し分かりにくい。)
入館。
1991年に改装されたらしく、1~4階までが吹き抜けになった近代的な造りである。
時間によって照明の色が変わって一日の時間の流れを表現したり、雨や雷の音が鳴る工夫がなされていて、展示そのものだけじゃなくて全体的な雰囲気を楽しむことができる博物館である。
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カブトムシとクワガタ以外の生きている昆虫は気持ち悪くて近づきたくないけど、標本になっているのを見るのなら面白い。
(何故か今ではまったく昆虫が触れなくなってしまった。なぜ。)
こんなにゴツくてトゲトゲでデカい足が虫が自分の服にいきなりくっついてきたと想像すると本当に気持ち悪い。
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脚6本・翅4枚
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見覚えあるやつ
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薬剤耐性
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ノコギリエイ、エラが裏にあるのがノコギリエイでエラが表にあるのがノコギリザメらしい
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だからアーロンはノコギリザメ
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ちょっと手抜き(?)展示のアザラシ。
丸々していてかわいく、おじさんが動物化されてしまったような表情をしていて面白い。
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楽しいところだった、2時間くらい滞在した。
最後に、併設されているカフェでカフェラテとブラウニーを食べる。
ブラウニーは歯が痛いくらい甘かったので、普通の苦いコーヒーを注文すればよかった。
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席からの眺めは良い。
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次に少し歩いて、同じパリ植物園内にある古生物学・比較解剖学陳列館に向かう。
まだ植物園内は落ち着いている。
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着いた。
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古生物学・比較解剖学陳列館。
ここも25歳以下は無料。
入るとまず正面には、皮膚を剝がされた人体模型がある。
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その後ろには超大量の哺乳類の骨格標本
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進化の到達点、ヒトが誇らしそうに手を掲げながら動物たちを先導している構図。
2階から1階を見渡す。
これほどまでに大きいクジラ全身の標本は、間近で見ると圧巻だ。
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ここはさっきの博物館と違い、演出ではなく資料そのものの魅力で来館者を惹きつけている。
また古色蒼然とした空間はむしろ新鮮で、まるでタイムスリップしたような気持ちになる。
実際、踏みしめると軋むところも複数あり、かなり年季の入った建物だと思う。
1階には骨格標本のほかにもホルマリンに漬けられた柔らかい組織の標本もいっぱいある。
2階は絶滅した動物の化石や骨格のレプリカ
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後で調べてみたところ、
回廊の壁には人類最古の絵画とされるラスコーの壁画が描かれていたようである。
真ん前のマンモスが生きていた同時期に人類が描いた絵をそれぞれ同じゾーンに配置する工夫だ。
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よく見る形の恐竜、この特徴的な角みたいな器官でデカい音を出せたらしい。
やたらリアルで不気味だ。
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小学生のころ、化石ホリダーというDSのゲームでこういう化石を掘っていた気がする。
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ここも2時間くらい滞在していた。
露出された展示が多く、間近で資料を見ることができて大満足だった。
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時間があれば再訪してもっとちゃんと見てみたい。
1日に何か所も博物館や美術館を回るのはやっぱり無理だと気づいた。
ベンチで少し休憩し、次はパリ工芸博物館に向かう。
最寄りの地下鉄オステルリッツ駅が工事中で使えなかったので一駅分は歩いて移動する。
パリ5区の街並み
あまり観光客が多くなく、道路も広くて落ち着いている。
パリ第6大学があり学生の街的な立ち位置らしいけど、土曜日なのであまり学生らしき人はいない。
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5番線 地下鉄Saint-Marcel駅からRépublique駅へと向かう。
地上に出る。
3区の街並み、小綺麗で道端におしゃれなカフェやバーが多く並んでいる気がする。
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パリ工芸博物館までの500 mほどの道のりを歩いていく。
着いた。
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15時過ぎに到着して色々見てみたが、やはり機械には全く興味が湧かなかった。
足が痛いし後半は早く終わらないかなと思っていた。
展示品の数や資料の価値などからすると、ここも多分めちゃくちゃ貴重な博物館なのだろう。
それでも興味が湧かなかったのだから、自分は本当に機械に興味がないのだと思う。
ちなみにフーコーの振り子やメートル原器があった。
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17時、既に外は暗くなりかけている。
景色を見るために歩きながらパリ北駅まで帰ることにする。
途中で見つけたベトナム料理屋でフォーを食べる。
最近はフランスの食事にも飽きてきて、かなり日本の料理が恋しくなってきている。
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おそらくベトナム人の方がちゃんとやっている料理屋なので、本格的なアジア風の味付けでとても美味しく、値段も10€とパリで夜飯を食べるにはだいぶリーズナブルであった。パクチーはもれなく最初に排除したが。
食べ終わったので再度歩き出す。
パリ東駅に一直線で続く正面の道は明らかに治安が悪い。
複数の若者グループが歩道に広がりたむろして大きな声でしゃべっている。
しかしやはりパリの夕景は美しい、危なくても歩く価値がある。
(ここは大丈夫な場所、多分)
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パリ北駅前は無法地帯、さっさと抜けてチケットを買ってアミアン行きの電車に乗る。
18:02分、出発する。
しかし途中の駅で停車して電車が動かなくなる。
乗客が全員降りていく。
アナウンスも全く何を言っているかわからない。
とりあえず、この電車はここで終わりだということだけは分かった。
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水の配給が始まる。
何故かフランス人たちは全くイライラしていないどころか、(おそらく)見知らぬ者同士で楽しそうに談笑してこの状況を楽しんでいる。全く訳のわからない国民性だ。
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鉄道警察的な人たちが来た時には、ヒーローがやってきたように乗客たちが拍手喝采している。
(アミアン行きの電車が来るのかを聞いたついでに、)
隣の人が英語を話せたので色々聞いてみると、フランス人もこの脆弱な鉄道のシステムには一応うんざりしているらしい。が、そのうえで受け入れているようである。
犬の糞を踏んでも、左足ならラッキーの予兆だという迷信を作ったりするように、
問題が起こった際に根本の解決を目指すのではなく、問題は起こるがそれを受け入れられるように工夫するのがフランス人の気質なのかもしれない。まだ去年からトータルして2か月くらいしか住んでないから知らんけど。
去年来た際の旅行者目線だと、フランスという国はただただ色々なシステムが崩壊しているだけだというネガティブな印象だけが得られた、しかし今は、フランスという土地に一定の国民性をもったフランス人が住んでいるという点でフランスという国は大崩壊をせずうまい具合に維持されているのだと、そしてそれがむしろ国としての個性であるようなポジティブな印象をもつようになった。
もっと長く住んでみるとまた印象が変わるかもしれない。
結局3時間ちょっとかけてアミアンに着く。
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最近知った、土曜日はバスが無料。
日曜日の食料を調達してから家に帰る。
週末の小旅行にこんな立派な博物館に行けるのは非常に魅力的ですね。私も行ったような気になれるくらい詳細なレポートで、面白かったです。
骨格標本を見て思い出したのですが、幼い頃の私は死んだ後どうなるんだろうという妄想をよくしており、骨だけになって博物館に置かれるのは寂しくて嫌だなとよく思っていました。今思えば、骨だけになっているのに自我を保っている設定なのは無理がありましたね。
ラボなどで仲良くなった方などとの交友録も見てみたいです。よろしくお願いします。
今川さま、コメントありがとうございます。
はい、これ以上ないほど素晴らしい所に滞在できております。
誰しも一度は死後のことついては考えてしまうものですね。
そうですね、死後唯一形として残る骨は生物の本質的なものに一見思えますが物質的にはただの無機物でしかないので、そこに自我的なものは残っていなさそうって素人目には思います (この辺は大昔から議論されてきただろうから下手なことは言えないですが、、)。だけど死んだ瞬間に自我的なものがブチっと途切れて消えてしまうのも寂しいような気がします。
正規のラボメンバーは教授以外おらず、基本的に永遠と自分一人で作業しておりますので、交友録を発信することは恐らくできません。申し訳ございません。