二日目
行きの駅で物乞いに遭遇する。ここにもいたのか。前日の夜に何か祭りをやっていたのか、駅前のベンチにゴミが散乱していた。
図 通勤ラッシュ(?)のバーゼル駅構内
フランス行きのSNCF車両を発見する。残念ながら、jingleを聞くことができなかった。ホイッスルで発着を知らせるだけだった。
図 俺たちのSNCF
昼は、なぜかタイ風カレーが提供される。
シンガポールの研究者と一緒に昼飯を食べる。バイオプリンティングの研究をやっているらしくて、研究の話をする。シンガポールよりもここの物価が高いということを嘆いていた。
コーヒーブレイク中、ドイツの大学でポスドクをやっているインド人の研究者と雑談する。京都大学でphDを取ったとのことであり、渡した名刺の字をスラスラ読んでいた。フランス語は難しいという話をした。
夜は学会主催のディナーに参加する。スイス料理にありつけるかと思ったらイタリア料理屋だった。ある人の話では、チーズフォンデュは冬の食べ物だそうである。学会会場からレストランの移動の間に、学会のオーガナイザーの人とお話しすることができた。修士の頃は京都大学に在学していたと言っていた。学会を通じて日本の話がポツポツ出てくるところを見ると、それなりに日本も存在感があるということである。
レストランはライン川に面しており、遊覧船が頻繁に行き来していた。
昼に知り合ったシンガポールの人、フィンランドでポスドクをしているインドの人、ドイツ出身のシグマアルドリッチ勤務の人と食事をともにする。日本のポスドクに対する認識と、海外のそれとは少し違うことをしる。前者は地位が低くて可哀想なやつ、という認識であるが、後者は自由にいろんなところで研究ができるいい地位という感じだろうか。少なくとも、給料が低いという話は聞かない。
日本では、学会やビジネスの場で何の冗談も言わないのだという話をするとウケた。また、日本にはサイゼリアという有名なイタリア料理屋があり、イタリア人がそこで料理を食べて、これはイタリア料理ではないということを嘆く動画がYoutubeにあるということを言ったらこれもウケた。しかしもう少しボキャブラリーを増やして、ライン川の流れのように澱みなく話してみたいものである。
ドイツの人からは、南ヨーロッパの人は口だけが達者であり、何もせんのだというディスりをきく。また、フランス嫌いのようである。あの国は全てフランス流にやるのだ、という。物乞いの対処法について聞いたら、「ただ逃げ去るのみ」との回答を得た。特に、マフィアが関係している物乞いは厄介であるから、無視して逃げ去ることが重要であるようだ。とにかくドイツや北欧においでとのことである。オクトーバーフェスは、ビールのお祭りであり、「私は若い時は一日3リットルはビールを飲んでいたが、今は2リットルが限界だ」と言っていた。
料理は、ハムの盛り合わせ、サラダの前菜に始まり、主菜はリゾットと、野菜の肉巻きの揚げ物、そしてデザートにアイスやティラミスが提供された。お腹がパンパンになった。夜10時、太陽が沈んだころにお開きになる。
学会三日目
学会会場に向かう道中で、知り合ったフランス人とバッタリ遭遇して、一緒に会場に行った。大阪には夏にはくるなという話をする。一緒に歩くことで物乞いから声をかけられなくなる。
昼は、ラビオリが提供される。ベジタリアンメニューであったようであるが、酸味、塩気がうまいこと調製されており、美味しかった。オランダの大学の助教の人と一緒に食事ができた。今年から助教を始めた先生のようである。オランダの観光地を教えてもらう。ヨハネスデレーケについて知っているかと聞いたら「知らない」と言われた。大阪の治水工事に貢献した偉人だということを興味深く聞いてくれた。
図 ラビオリ
講演の後、ポスターの表彰式が行われた。残念ながら自分は取ることができなかった。
Advanced Materials Interfacesのエディタが審査を行ったようである。
ナノ粒子を使ってバイオセンシングしたり、細胞に機能性の分子を修飾するような研究が賞を取っていた。
弊研究室でやっているようなことでも賞が取れるかもしれない。2027年にまたスイスでやるそうなので、
興味があってかつ、その年まで在学する人は是非!
この学会は、規模としては小さいものの、質の高い発表がたくさん行われていた。
ポスター発表でも、Nature系やAdvanced Materials系の雑誌にアクセプトされた内容が多くあった。
このようなハイレベルな研究者たちと交流できる機会に会うことができて光栄である。
また、自分の研究内容も興味深く聞いてくれて、嬉しかった。
完全にアウェーであったが、結果的にはいろんな人と知り合うことができた。
それだけでも良い収穫である。
今後のキャリア的には、こうした場にいることはもうないが、
他のことでもっともっと良い思いができるようになりたい。